製造業向けプロセスインフォマティクス事業を展開する名古屋大学発スタートアップのアイクリスタルが2.7億円を調達


プロセスインフォマティクス事業におけるプロダクト開発体制を強化

AIを活用したプロセスインフォマティクスで半導体製造プロセスを始めとした製造業の製造プロセス最適化を手掛けるアイクリスタル株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:髙石 将輝、以下アイクリスタル)は、SBIインベストメント株式会社、株式会社ディープコア、STATION Ai株式会社各社様が運営するファンドおよびエンジェルナビ・グループ様を引受先とした第三者割当増資により、総額2.7億円の資金調達を行ったことをお知らせします。

アイクリスタルは名古屋大学 東山キャンパス内のインキュベーション施設に本社を置く名古屋大学発スタートアップです。マテリアル工学科を中心とする各研究室との連携により、18名の正社員に対し、19名の名古屋大学 大学院生、16名の名古屋大学 学部生をインターンとして雇用し、技術力を高めながら徐々に規模を拡大してきました。

これまでは創業期からの株主である東海国立大学機構(名古屋大学)の支援を受けながら自己資金の範囲内で事業を行ってきましたが、成長を加速させるために、はじめてエクイティによる資金調達を行いました。

今後は新たに加わっていただいた株主の皆様のお力もお借りして、半導体業界を中心とする製造業の発展に貢献する事業を世界で展開していきたいと考えています。

・【プロセスインフォマティクスとは】

プロセスインフォマティクスとは、プロセス設計に対してAIを活用し、欲しい条件を効率よく最短で探索する手法です。モノを作るとき、材料や手順、製造条件により製品の質やコストに大きな影響を与えるため、良い製品を適正価格で製造するためには、それに適した製造条件を模索する必要があります。製造現場の熟練技術者による「経験と勘」をプロセスインフォマティクスが助け、条件探索にかかる時間とコストを大幅に削減する手法として注目を集めています。

・【アイクリスタルの技術について】

アイクリスタルでは、プロセスインフォマティクスを活用した独自のアプローチにより、ビッグデータの蓄積が難しいモノづくりの現場においても、過去の限られた実験データとともに、熟練技術者が決めた実験条件の意図を学習させることで、AIの学習効率を飛躍的に向上させています。技術者とAIが協働してキャッチボールを繰り返すことでデジタルツインの精度を上げ、最適条件を提案し、短期間で解析・最適化を実現します。

お客様固有の最適化を数多く手掛けながら、最適化プラットフォームの開発に取り組んでおり、データ駆動型の製造業の実現を目指しています。


・【株主の皆様からのコメント】

SBIインベストメント株式会社

投資部 マネジャー 本多 大章

2030年に世界の半導体産業は100兆円産業になると言われており、国内外で活発な事業投資が行われている、今ホットな産業の1つとなっています。その状況下、半導体プロセス×プロセスインフォマティクスというスキルセットを有するアイクリスタル社は、半導体プロセス開発において、新しい技術開発モデルを提唱する稀有なスタートアップであると考えております。今後、プロセスインフォマティクスは、あらゆる技術開発の中心的な役割を担うと想定され、アイクリスタル社はその先行者になると確信しております。アイクリスタル社の野心的な取り組みに対し、SBIグループ一丸となってアイクリスタル社を支援していく所存です。

株式会社ディープコア

Executive Investment Director 左 英樹

製造業はGDPの約2割を占め、日本経済を支える基幹産業の一つです。国内製造業の競争力低下が悲観される一方で、機械的な構造を持つ製品や製造工程が複雑な製品は比較的競争力が維持できているとされています。特に半導体等の複数の工程を経て製造される製品は、工程最適化のニーズや課題感が強く、ここにアイクリスタルの強みが発揮できる可能性があると考えています。プロセスインフォマティクスは、データサイエンスやエンジニアリングだけではなく、製造工程や装置そのものへの理解が求められる領域です。同社がこれまで培ってきた知見や提供するサービスを通じて、日本の製造業が今後さらにグローバルで存在感を増す一助になることを期待しています。今後も同社の成長をサポートしていきます。

STATION Ai株式会社
代表取締役社長 兼 CEO 佐橋 宏隆

プロセスインフォマティクスは、製造業における生産性・品質・コスト効率の向上、製品改善や生産ラインの最適化などに極めて有用な手法です。その中でアイクリスタル社は、長年の半導体研究における知見・製造ノウハウを組み合わせることで革新的なソリューションを開発しており、製造業の盛んな日本では特に非常に重要な役割を担う存在になると考えています。また、同社は、名古屋大学発スタートアップとして活躍する中、既にPRE-STATIONi Aiへも入居頂いており、今後、ものづくり産業の集積地である愛知・東海エリアを代表するスタートアップになると確信しております。同社の今後の発展に大いに期待し、東海圏の各企業等との幅広い連携を含めしっかりと支援してまいります。

エンジェルナビ・グループ

代表 深田 啓介

既存データを有効活用できるAIは有益と理解されつつも、企業データのうち、米IT大手でも1割しか有さず、残り9割を占めるいわゆる産業データの多くが活用し切れていないと言われています。同データへのリーチ次第でAIも更に大きな発展余地が生じ、特にモノ造り企業の多い日本発でのAIスタートアップが、世界標準を目指す可能性に注目しています。その中、アイクリスタルは、経営陣、名古屋大学、製造業大手との長年のリレーションに優位性を持ち、高精度なAIの開発実現に繋げ、海外展開も視野に入るポジションも構築される等、非常にワクワクする取組みを続けられています。エンジェルナビ・グループは、CVC運用支援をする製造業の上場大手等とアイクリスタルとの連携も視野に、同社の企業価値向上に貢献して参ります。

国立大学法人東海国立大学機構

機構長 松尾 清一

2020年に名古屋大学と岐阜大学が法人統合して誕生した東海国立大学機構では、大学で得られた研究成果を活かして新しい産業を創出し人類の課題解決に貢献するスタートアップの育成・支援システムの整備とグローバルエコシステムの構築に取り組んできました。機構長のもと、この取り組みをけん引している両大学の副総長と副学長などが参画する東海機構スタートアップ戦略会議を立ち上げており、近い将来、独自のVC(投資ファンド)を設立することも検討しています。

この戦略会議が中核となってスタートアップの育成・支援体制を充実させることで、スタートアップが将来大きな果実を実らせ、そこから得られた成果を東海機構に戻し、それが原資になって新たなスタートアップを育て、社会課題解決に貢献していくという好循環をつくることを目指しています。

アイクリスタルがこのエコシステムの成功例になることを大いに期待しています。

・【採用情報】

アイクリスタルではプロセスインフォマティクス事業の成長を加速させるため、データサイエンティスト、機械学習エンジニア、自社SaaSの開発マネージャー、Webアプリケーションエンジニア、CAEエンジニア、企画営業、コーポレートなど全部門で採用を進めています。当社のVISION『すべてのモノづくりにインフォマティクスの力でプロセス革命を』に共感し、事業拡大を共に担っていただけるメンバーを募集しています。

以下よりお問い合わせください。

採用ページ:https://www.aixtal.com/recruit-top

・【会社概要】

アイクリスタルでは、具体的に解決したい課題があるお客様、長期的な目線でAI活用のリテラシーを高めたいお客様に合わせて『受託解析サービス「Professional」』、『教育サービス「アイクリスタル寺子屋」』、『伴走支援サービス「PI顧問」』のサービスを展開しています。

設立:2019年11月

代表者:代表取締役 髙石将輝

所在地:愛知県名古屋市千種区不老町1番地 名古屋大学 インキュベーション施設206

コーポレートサイト:https://www.aixtal.com/

お問い合わせ:https://www.aixtal.com/contact